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2010/12/17 UPDATE

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INDEX 阿佐ヶ谷スパイダースのもうひとつの入り口。

池田成志×村岡希美×伊達暁「いい大人たちがアツくなる理由」


何とも不思議な一座がある。他劇団に所属していたりいなかったり、様々にキャリアを重ねてきた俳優陣が、プロデュース公演的な個性豊かさで集い、でも誰もがその“一座”のことを、まるで我がことのように考えている。伊達暁だってそうだ。ひと月以上も先の開幕に向け、まだ誰もいない劇場で、こうしてもりもりと座談会を敢行。――ゲストに池田成志と古田新太を迎え、今回でファイナルとなる「真心一座身も心も」。池田と、座長・村岡希美を前に、まずは伊達が口火を切ってみる。


ちぐはぐさを”熱”でカバー

伊達:共演歴でいうと、僕と成志さんとは1回だけなんですよね。
池田:そうだね(※04年、阿佐ヶ谷スパイダース『はたらくおとこ』に客演)。
村岡:私も、1度だけ。ナイロン100℃の『テクノ・ベイビー』(99年)で。
伊達:成志さんは、真心一座の他のメンバーとは初めてですか?坂田さんとか。
池田:うん、いわゆる“明大閥”の人たちとは初めてですね(笑)。
村岡:そうなんですか。何だかもっと、出ておられるような気がする。
池田:俺ね、どこへ行っても結構“いっちょかみ”なの。ナイロン1回、阿佐スパ1回、それから大人計画も1回。すごくよく知ってるのに共演したことのない演劇人、というのがたくさんいます。
伊達:そういう成志さんから見て、真心一座の舞台ってどうなんですか?
池田:僕はナレーションもやってるから、観客というよりも“準レギュラー”みたいな気持ちで観るのね。だから多少キツいことも、ついつい思ってしまうんですが……この前、再演をやったじゃない。
伊達:やりました。
村岡:5年前の「第一章」を。
池田:やっぱり、初演と比べちゃうんですよ。当時はみんなが、もっとどきどきしながらやってた感じがあったの。「ひょっとしたらウケないかも」「でも俺たちはこんなに真剣!!」っていうような。青山円形劇場の空間全体が、なんか妙に熱かったもん。
村岡:たしかにそうです。私たちは稽古場で毎日「うわ、どうしよう、こんなに面白いものができちゃった!!」って思ってたんですよ。ただただ夢中で、高揚したまま劇場入りして。だけど初日の開演寸前、舞台裏にスタンバっているときにふと「もしかして、面白いと思っているのは私たちだけで、お客さんが観たらドッチラケなのかも……」と思って。その瞬間、一気に緊張しましたね。大阪公演の千秋楽まで、ずっと張りつめてました。
伊達:河原さんも言ってましたね。一度やった作品をもう一度やるときに、その意味やモチベーションをどこに置くのかと。数年が経って、例えば肉体的な衰えは決して隠しようがないけれど、でもそのことが逆に味みたいなものを増したりすることも、ありうるじゃないですか。
池田:単純に、経験を重ねて演技がうまくなった、っていうような変化もあるしね。でも俺は何しろ、初演のゴルフ場のシーンが大っっっ好きなの。ゴルフなんて1ミリもやったことのなさそうな人たちが、それっぽい衣装を着て、見るからにまったく着慣れてなくて。なのに無理矢理「ゴルフ場です!」って言い切ってるあの感じ(笑)。圧倒的なちぐはぐ感を、熱でカバーしようとしてるのがすごくおかしかった。
村岡:ええ。“熱”でしたね。すべてが。

「がや」、生き生きしすぎ。

伊達:第二章と第三章では、どうですか。その“熱”は、感じましたか?
池田:もちろん、あったと思うよ。ゲスト陣が初めての人たちばかりだったし。ただ、「がや」のコバケン(小林顕作)とかは、回を重ねるごとにちょっとずつ、何らかのコツをつかんでいったよね(笑)。特に物語の本筋に絡んでいないときのみんなは、めちゃくちゃ生き生きしてる。「お前ら生き生きしすぎだよ!!」っていうくらい(笑)。
伊達:僕らは、自分の役が本筋に絡みだすと不安になるんです(笑)。「早く俺を背景にして!」って思ったりする。
池田:なるほど。たしかにそういう“背景”の断片がコラージュになって、あの大河のような物語を成していくというのが、このシリーズの魅力ではあるなあ。
村岡:第二章と第三章では、その“コラージュ”をとにかく盛りだくさんにしていた気がするんですよ。回を重ねるごとに、後ろに引き下がれなくなっていくというか。「第一章のときに面白かったのはどこだろう」「それ以上の何かを、どうすればできるだろう」って。しかも前回までに出てきた要素を無理矢理“伏線”にしていくものだから(笑)、それらをいかに、不自然ではない形で落とし込むかといったあたりも難しくて。それに、初めてのお客さまにも楽しんでいただきたいという最低限の方針もあるので。
池田:うん。あるよね、それは当然。
村岡:今回は劇場も大きくなるし、地方公演にもうかがうので、客席の3分の2はこれまでのことを知らないお客さまなわけです。正直なところを打ち明けてしまうと、そのあたりが悩みどころだったりはしますね。
伊達:成志さんはそのへん、どう思いますか。初めてのお客さんに、説明しなくていいんですかね。
池田:いいと思うよ! だって、マンガ読むときがそうだもん。本当に面白いマンガって、途中から読んでも絶対面白いでしょ。「うわ、これ、最初から読みたい!!」って思うじゃない。その芝居が芝居として面白ければ、お客さんは必ず、自分で想像してくれるんですよ。流れ続けた「たつこ」と「かつこ」が、自分の宿命にどうケリをつけてどこへ行き着くのか、それさえ押さえていれば、あとは思いっきり破綻してもいいと思う。どんな感想でもいいから、お客さんの心に強烈な何かが残るような芝居になればいいなあと思うよね。



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