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阿佐ヶ谷スパイダース20周年特別企画「あの日、あのとき、この場所で」中村まこと×山内圭哉×中山祐一朗

阿佐ヶ谷スパイダース20周年鼎談企画第3弾!中山祐一朗の会いたい人は、2003年の『みつばち』で共演した中村まことさんと山内圭哉さん。真夏の暑い日に、共演した劇場のある思い出の地・新宿……ではなく、演劇の街・下北沢駅前で待ち合わせ。思い出を語りながらぶらぶら歩き、ほどよく汗をかいてから昼酒スタート!気のおけない3人の爆笑トークは、演劇の少しまじめな話から記事に書けないあんなことやこんなことまで、夜が更けるまで尽きることはなかった――。
中山この3人が共演したのは新宿のスペースゼロでやった『みつばち』だから新宿でやれって言われたんだけど、無視して下北沢にしてしまった……(笑)。
山内下北沢はね、僕らと東京の人らとは捉え方が違うと思うけど、最初に来たときはびっくりした。レコード屋、古着屋、ライブハウス、劇場、自分が楽しいと思うものがこの街ひとつでまかなえる。こんな街、大阪のほうがありそうやけど大阪にはなくて。
中山OFF・OFFシアター、駅前劇場、ザ・スズナリ、本多劇場は小劇場の出世街道だよね。
山内東京の人はそういうコースもあるよね。
――ここ最近で下北沢の街も変わりましたね。
中山圭哉の好きな楽器屋さんもなくなっちゃったし。
山内王将の路地を入ったところに古道具屋さんみたいなお店もあったよね。あそこでもギター買ったりしたなあ。
中山王将の先を右に入ったところにひとりで行ける焼き鳥屋さんがあったんだけど、なくなっちゃった。ものすごい流行ってたのに、これ以上働きたくないっていってやめちゃって。
山内仕事している街として来てる頻度は半端ないから、わりと路地ごとに思い出があります。
中山まことさんは下北沢で芝居やる前から下北沢に住んでたんだよね。
中村浪人生時代は千葉の鎌ヶ谷に住んでたんだけど、その頃から憧れて住みたいなと思ってた。
山内関西の劇団は東京公演に来るときにはなぜか高田馬場のウィークリーマンションに泊まってたの。だからたまにうちと劇団☆新感線と立身出世劇場とかが一緒に泊まってることもあった。実は関西小劇場にとっては高田馬場が聖地で。そこから下北に通ってたんだけど、夜公演のときは西新宿のレコード屋に行って、下北をちょっと回ってから劇場入りしてたなあ。
中村ぶーふーうーっていう、朝までやってる始発を待つ店があったじゃない。その店に温室みたいなテラスがあったんだけど、あそこに落っこちたやついたよ。道からバシャーンって。それでテラスが割れちゃって
山内・中山えー!(笑)
山内下北といえば、初演の『はたらくおとこ』を本多で観たあとに飲んでこの鼻の傷を作ったんだよ。とにかく知り合いが多い日で、次の日舞台の稽古やったんだけど、みんなにもう一軒、もう一軒みたいに言われて、明け方に「とにかく帰ろう」と思ったのまでは覚えてるんだけど、そこから記憶がなくて、次の瞬間は世田谷病院だった。
中村うぎゃー!この鼻の傷はそのときの傷なの?
山内だから俺はこの傷のことを『はたらくおとこ』と呼んでいます(笑)。
中村出てもいないのに(笑)。

それぞれの初対面と「演劇は仕事か?」問題

中山まことさんと知り合った頃にタクシーで一緒に帰った記憶があるんだけど、結構しゃべってくれて、今考えると気を遣ってくれてたのかなって。
中村俺がiOJO!(オッホ)に客演してたときに中山っちは『ともだちが来た』に出ててちょうどいなかったんだよ。主宰の黒川麻衣ちゃんから「本当は中山っていうおもしろい人がいて、まこりんきっと気が合うよ」って言われて(笑)。そのiOJO!を中山っちが観に来たときに会ったのが最初じゃないかな。
中山そのときが初めてか!
中村そのあとは「ムック@オッホ」っていう番外公演に出たよね。
中山俺が作・演出やったやつだ。なんでそれにまことさん誘ったんだろう。気が合っちゃったのかな(笑)。
山内中山さんがまことさんを好きになっちゃったんだろうね。だって『みつばち』のときに俺はまことさんに初めて会ったけど、ふたりは超仲良かったもん。まことさんへの甘え方が半端やなかった(笑)。
中山『みつばち』のときにまことさんがあばら折れたの俺のせいだし。
中村いや、そうじゃないけど。ゲネの前に舞台の構造を説明する舞台ツアーのときに折ったんだよね。
山内場あたりの前でしょ?劇場入りして初めて舞台に上がって説明されてるときに試しでドロップキックしてあばら折ったっていうね……。
中山それで病院行ってね。
山内さらし巻いて、痛み止めもらってね。昼夜2回公演のときに、昼飯を食い終わったまことさんが化粧前で痛み止めを飲んでて、10分後くらいに見たら強烈な眠気に襲われてよだれダラーッってたらして寝てたの。俺、「こんな先輩観たことないわ!」って思った(笑)。
中村圭哉への第一印象は、「関西からパンクスが来た!パンクス芝居するんだ!」だな(笑)。
山内(笑)。まことさんが、『みつばち』の次にやった舞台を観に来てくれてCDプレゼントしてくれたの。それで「まことさんこれ好きなんですか?」って聞いたら「俺も聞いたことないんだけど」って。なんやそれ!(笑)
中村そんなことあったね(笑)。
山内劇団いるときからそうやったけど、不完全な人の中で育ってるから年上で不完全な人はホッとする(笑)。まことさんは「大好物見つけた!」って感じでしたね。立ち回りを最初から本域でやるような人(笑)。
中村卒業しましたけどね。
山内だから最近は「まことさん、こんなこともできるようになったんや」って思う(笑)。
中山俺、圭哉がそういう目線で見る人だって知らなかったからさ、今になってちくしょうだましやがって!って思うよ。
山内なんでやねん。
中山だってこの人やたらいろいろな人に信頼されてるとは思ってたんだけど、今考えるとちゃんと芝居してたんだなって。俺ら全然できてなかったから。どういう目で見てたんだよ俺らのことって思う。
中村特に中山っちとか俺とかはさ、当たり前の気遣いができないから。
山内中山さんも俺の1つ上ですけど、『ダブリンの鐘つきカビ人間』で初めて共演したときに、「とんでもないやつがおるぞ」って思った(笑)。だから初対面は『ダブリン〜』の稽古場に行く新幹線だよね。中山さんと圭史とたまたま一緒で。スパイダースで扇町ミュージアムスクエアに来てて、前の日が千秋楽だったんだよね。
中山俺ら新幹線で寝ればいいと思って直前まで飲んでたのに、よしもとの人が気を使って対面にしてくれて。
山内寝れなくてね(笑)。
中山パルコの稽古場に初めて行くのにこんなバッドコンディションでいいのかなって思った(笑)。
山内『ダブリン』が東京でやる初めての芝居だったから、そんなふたりを見て少し緊張が緩和されたよ。中山さんと圭史と俺で本番終わってからよう飲んでたよね。そのときに、「秋にパルコでやるから出て」って言うてくれて、そのあとの『みつばち』に出ることも決まって。当時の圭史は「好きな人を集めてこういうことをやりたい!」というところがあったから楽しかったよね。
中村仕事じゃないみたいな感じはあったよね。
山内だから仲間感が他のカンパニーよりもある。サークルとか部活みたいなノリがあったというか。30過ぎてから友達とかできんねやと思いましたからね。
中山圭哉は芝居のことをよくわかってるし、芝居も上手いはずなんだけど、ちょっと気を抜いたギャグが好きなところが俺と趣味が合うなと勝手に思ってた。俺は江川が130kmしか出ていないど真ん中のストレートをたまに投げて、打者がびっくりして三振してしまうっていうのがすごい好きなの。でもそんなことが好きだって言ったら、「だからお前は成長しないんだ、やることやれ!」と言われてしまうと思うんだけど、まれに起きるそれがあるとすごい楽しい。だから江川は大投手になれなかったと思うんだけど。俺は巨人ファンでもなんでもないよ?
山内なんの話をしているの?(笑)
中山圭哉も人がやってないびっくりすることが好きというか、いたずらが好きなのかなと。頑張らないギャグで笑いを取るのが好きでしょ?
山内頑張って取ったら当たり前じゃないですか。東京で飲んでて思うけど、美味いけど高いよね。4万5千円とか聞くと「そら美味いやろ」って思う。高くて美味いのは当たり前。安くて美味いことに値打ちがあるから、頑張ってたどり着くようなことはやめたらいいんですよ。
中山まことさんは頑張ってるのにくだらないからおもしろいんだよね。
山内まことさんにとって社会生活は縄なの。結束バンドみたいなもの。演劇のときはそれが外れるからおもろい。でも、大なり小なりそういうとこですよ、演劇って結局。
中山それを言ったら演劇なんて遊びみたいなものじゃない。今一番の悩みなんだけど、遊んで暮らしたいと思ってるんだけど、遊んで暮らすことが演劇じゃなくなっちゃってるんだよ。
山内え?どういうこと?
中山演劇を遊びと思えなくなったというか。「遊んで暮らしたい」ということが、なにもしないでだらだらするってことになっちゃってる。
——演劇が仕事になったということですか?
中山仕事になっちゃったかもしれない。でもそこはグレーなまま聞いておいて欲しい。
中村遊びだった演劇とか芝居が仕事になったならいいじゃん。
山内でもその時期は過ぎたよね。俺も「遊んで暮らしたい」と中3くらいから思ってて、「ええ感じで遊んで暮らせてるな」って30代は思ってた。
中山そうなの!俺も演劇とリンクしてたんだよ。でも今は違うというか。まことさんはまだ演劇が遊びなのかと思ってた。
中村違うよ!仕事としてやってますよ!(笑)
中山『荒野に立つ』のときも圭史は難しい芝居に挑戦してたんだけど、そのときにまことさんが「しょせん演劇だから」って言ってくれたのがかっこ良かった。まことさんが現場を引っ張って、ギャグの方向で演じようとして怒られて、みたいなことをやってくれてたんだよね。
山内率先して恥をかき。めっちゃかっこええやん。
中村かっこいいな!俺!(笑)
中山「しょせん演劇なんだからさ、思いついたことをやりたいと思ったらやればいいし、興味なければやめればいい」って、まことさんは先輩としてやる方向に一歩足を踏み入れた感じで言ってくれたの。
山内スペースゼロの楽屋でよだれ垂らしてたおっさんとは思えんわ。
中村顔にカレーつけてたおっさんがね。
山内それこないだの話やないか!『十一ぴきのねこ』の再演のときにね、13時から稽古だったからまことさんが稽古場でカレーを食ってたの。そしたら食い終わったときに髪の毛になんかうんこみたいなのついてて。「なんかついてますよ」って言ったら、「あ、カレーだ!」って。どんな食べ方したら前髪にカレーつくの? 俺、やっぱりまことさんはすげえなって思った(笑)。
中山『日本の女』のときにお寿司の差し入れがあって、休演日をまたいで残ってたんだよ。そしたらまことさんが冷蔵庫あけて、まぐろの寿司をそのまま食べたの。出ずっぱりなのに大丈夫なのかなって思った。
山内知恵のある猫やん(笑)。
中山大丈夫だった。そうやって教えてもらえるんだ、鮮度をって(笑)。
中村教えてねえよ。本当に腹が減ってたんでしょう!
中山俺はそこから学んだもん。刺身は3日大丈夫なんだって(笑)。
山内かっこええよな、まことさんは。
中村なんなんだよ!(笑)


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