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2016/09/09 UPDATE

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阿佐ヶ谷スパイダース20周年特別企画「あの日、あのとき、この場所で」池田鉄洋☓村岡希美☓長塚圭史

阿佐ヶ谷スパイダース20周年特別企画として、メンバーそれぞれが会いたい人と会いたい場所で好きなことを話す鼎談企画がスタート!長塚圭史の会いたい人は、2009年から2010年の年末年始、『アンチクロックワイズ・ワンダーランド』で濃密な時間を過ごした池田鉄洋さんと村岡希美さん。8月某日、それぞれの仕事を終えた3人が池尻大橋に集まった。池尻大橋は、『アンチクロックワイズ〜』の稽古場があった場所。まずは長塚自身のターニングポイントともなった作品が生まれた稽古の日々を振り返る―—。
長塚久しぶりだよね。今、ふたりは何やってるの?
村岡私は石田衣良さんが10年くらい前に書いた『娼年』という小説が原作の舞台の稽古中。
池田須藤理沙ちゃんも出るお芝居だよね。ポツドールの三浦(大輔)くんが作・演出で、ちょっとハードそうな感じのやつ。
村岡もともと原作が激しい設定だから、みんなすごい役をやりますよ。松坂桃李さんが主演。
池田松坂くんってすごくいい人だよね。悪い噂を聞いたことがない。
村岡確かにすごく気さくな人で、熱心に取り組んでいる感じがする。
池田俺は今、『こち亀』(舞台版『こちら葛飾区亀有公園前派出所』)の稽古中。あとは脚本を書かせてもらった明治座のミュージカルがもうすぐ初日かな。
長塚みんな忙しくしてるんだね。今回集まってもらったのは、阿佐ヶ谷スパイダース20周年の鼎談企画なんだけど、イケテツとジョジョ(村岡さんのあだ名)と話すなら、『アンチクロックワイズ・ワンダーランド』で一緒に稽古した池尻大橋かなと思って。
村岡懐かしいね。稽古が終わったあとにこのお店に来たのも覚えてる。でも、『アンチクロックワイズ〜』の稽古をしていたSIMスタジオはもう池尻大橋にはないんだよね。
長塚今回はまず、ぶっちゃけふたりは『アンチクロックワイズ〜』をどう思ってたのかなということが聞きたくて(笑)。
池田俺は最初、イギリスに行く前の圭史から、「帰ってきたらフランスの片田舎で起きた大量殺人の話をやりたいと思ってるんだけど」という話を聞いてたんだよね。その題材を圭史の世界観で描くのであればおもしろそうだと思って「やりたい」と言ったんだけど、帰国したら全然違うものになってた(笑)。
村岡そうだったんだ。確かに圭史くんが描くのであればおもしろそうな題材だね。
池田イギリスから帰ってくる頃だったかなあ、中山(祐一朗)から「圭史がまったく違うものをやろうとしている」という話を聞いて。留学したことによって方向性が変わったんだと納得してはいたけど、変わってほしくないという思いはあった。やっぱり前の圭史の作品が好きだったから。『アンチクロックワイズ〜』の稽古中に、はっきりと圭史にも不満を言った気がする。だからそれ以来、俺は阿佐ヶ谷スパイダースには出てないし、俺とは違う方向に行っちゃったから一緒にやることもないのかなと思っていた。
長塚稽古中はいろいろあったよね。
村岡試行錯誤しながら稽古を進めていたから、いろいろな意見が出てたもんね。確かに私も、「圭史くんのやりたいことだから」と思ってやっていた部分はあった。柱を動かして場面転換したり、意味がないような長ゼリフを言わされたりと、これまでの阿佐スパとは違うから戸惑った部分も多かったけど、演劇的な手法の使い方はおもしろかったから、楽しんでやってはいたよ。
長塚観客の想像力に訴えるようなやり方で作品を作ってみて、これまでは「まだ演劇を楽しみきれていなかった」と思った部分は強くあった。
村岡ストーリーもあるのかないのかわからないような抽象的なものだったから、セリフがすごくむずかしかったなあ。物語全体に関わる、絶対に間違っちゃいけない長ゼリフはすごくプレッシャーだったし。新聞の記事を読むようなセリフでむずかしい言葉が多かったから辞書で調べたんだけど、やっぱり意味がわからなかった(笑)。
池田演じているほうはスッキリしなかったよね。稽古場で俺はいつも悶々としてた。俺も最近、串田和美さんや白井晃さんのお芝居に出させてもらって、演劇的な、というとヘンかもしれないけど、これまで自分がやったことのない演劇のおもしろさもようやくわかってきた。でも『アンチクロックワイズ〜』をやっていた当時は、「圭史、そっち側に行っちゃうんだ」と不満だったなあ(笑)。まあ、イギリス行く前にスパイダースで上演した『失われた時間を求めて』の頃からそんな雰囲気はあったよね。
長塚そうだね。小劇場で自分のやりたい作品を作るところから始めて、プロデュース公演とかもやるようになってどんどん劇場も大きくなっていって。とにかく作品を作り続けて、それはもちろん楽しんではいたんだけど、吸収する時間もほとんどないし、どうして演劇という手法を選んでいるのかわからなくなったりしてね。だから演劇をやめないためにも時間をかけて思考したくて、新しいものを取り入れることが出来るのかわからないけれど、一度さまざまなことから離れたいなって。で、結果イギリスでいろいろ考えた。帰ってきて『アンチクロックワイズ〜』を作ったときはあれが一番やりたいことだったから、「今までの作品なんて……」と、そのころは思っていた感じはある。
村岡前の作風が好きという思いはあったけど、イギリスから帰ってきた圭史くんとやりたいという思いのほうが強かったから、何でもいいと言ったらヘンだけど、あの時に一緒にやれたことは嬉しかったな。
池田(小島)聖もすごく楽しんでいた感じがする。そう考えると女性陣は圭史の変化をすんなり受け入れてたね。俺は分かりやすくヘソを曲げて、「二度と出るもんか!」と思ってたから(笑)。だから今回、『はたらくおとこ』を再演すると聞いて嬉しかったよ。俺はもう声をかけてもらえないと思っていたから。
長塚声かけますよ!

大スター中村まことと猫のホテルの人たち

長塚どこの稽古場が好きだったとかはある?
村岡私はあんまりないかなあ。でもSIMスタジオは通いやすくて好きだった。
池田俺はね、SIMスタジオで猫のホテルのメンバーと大ゲンカしたからあんまりいい思い出がない。
長塚なんでケンカしたの?
池田ええっと……些細な事でね。稽古中に(中村)まことさんが「頭が痛い」って言いだして、コホン、コホンって咳をしはじめてさ。脚本も遅れていた事もあるし、稽古終わりに、「明日は稽古を休みにして、脚本を書いてもらいませんか?」って提案して、そのときには誰も意見を言わないから休みになったわけ。そしたらあとからまことさんが「稽古やったほうがよかったんじゃないか」とか言い出して。(市川)しんぺーさんも「俺もそう思う」とか言うからさ、「だったらなんであのとき言わなかったんですか?」って聞いたら「言う雰囲気じゃなかった」って。「だってまことさん、風邪ひいてたじゃないですか!」とまことさんに詰め寄ったら、「この風邪は普通の風邪じゃない。誰にもうつらない、まこと風邪だ!」とか言い出したの(笑)。で、今はもうなくなっちゃった道草という飲み屋で大ゲンカになって、「もういいよ!」と俺が店を出たらまことさんが追いかけてきて、何を言うのかと思ったら「もう一軒行こう」って(笑)。本当に意味がわからなかった。まあ、つまらない話ですよ。
長塚つまらなくはないよ(笑)。いや、本当に猫のホテルの人たちってすごいね。でもそういうところが好きなんだけど(笑)。僕の中では中村まことさんが大スターなの。まことさんは本当にワクワクする。
池田僕の中でも昔はスターでしたよ。昔は、ね(笑)。
長塚今は同じ事務所に在籍しているけど、なるべく同じ事務所に所属していることは考えないようにしているんだよ。オファーするときも、猫のホテルから客演してもらっていたときの気持ちを忘れないようにしたいから、ワーッと耳をふさいで、同じ事務所じゃないって自分をごまかす(笑)。
池田なんだそれ(笑)。
——それぞれの初対面はいつですか?
池田僕と圭史は強烈な出会いだから。出演オファーを断ったときが最初だよね(笑)。
長塚断られた!TOPSカフェで。すごく必死に誘ったのは覚えてる。出てくれなかったけど(笑)。
池田そのときは猫のホテルでやることに集中していたからよそに出ることに慎重になっていた時期だったんだよね。
長塚でもなんで出てくれるようになったんだっけ?
池田そのあとに見た『テキサス』がおもしろかったからかな。だから素直に「あのときはごめんなさい」って謝った。
長塚ジョジョとは『十字架』が最初だったっけ?
村岡そうそう。『十字架』はカッコいい作品だったよね。嫌な話だけど演じていて楽しかった。でも、圭史くんとの初対面は誰かに誘われて行った飲み会だったような気がする。だからあんまり知らないときに作品に出させてもらったんだよね。
長塚ジョジョと三上市朗さんとかはそうだよね。もちろん舞台で観て知っていたし、いつかずっと一緒にやりたいと思っていたから出てもらえたときは嬉しかったなあ。
池田阿佐ヶ谷スパイダースのキャスティングは、いつもおもしろかった。『十字架』なんて、小島聖や三上市朗さん、そして、真木よう子。「凄いキャスティングだ」って羨ましかった。
長塚そうだよね。先輩たちには「出てもらえるかわからないけど頼んでみよう」という気持ちはあった。
池田すごく挑戦しているなと感じたよ。そうそう、『十字架』に役者として参加していた千葉さんが、圭史への返歌として『起きてるものはいないのか!』という、キリストの生涯を題材とした芝居を猫のホテルで作ったの。それほどまでに『十字架』は千葉さんにとって、特別な思い入れがあったみたい。
長塚ありがたいですよ。僕は中村まことさんを筆頭に、猫のホテルの役者さんたちにはよく出てもらっているから、まあある意味変態的な部分があるのかもしれない(笑)。


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中山 祐一朗

伊達 暁

長塚 圭史

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