HOME > SPIDERS INDEX

2014/01/06 UPDATE

バックナンバーはこちら

INDEX 阿佐ヶ谷スパイダースのもうひとつの入り口。SPIDERS INDEX #022中山祐一朗×伊達暁×長塚圭史

SPIDERS INDEX #022中山祐一朗×伊達暁×長塚圭史






シアターコクーン・オンレパートリー2013+阿佐ヶ谷スパイダース
『あかいくらやみ〜天狗党幻譚〜』から約7か月--。
久しぶりに阿佐ヶ谷スパイダースミーティングを開催。
公演の話を中心に、それぞれの2013年を振り返る。
そして、新年の挨拶用に3人が書き初めを共同制作。
中山が書き間違い、伊達が大胆に馬を描き、長塚がまとめる、
「らしさ」あふれる力作ができあがった。

阿佐ヶ谷スパイダースミーティング

パッピーニューイヤー!2014

――素晴らしい書き初めができあがりましたね。
中山失敗した…。
長塚心配になるわ!(笑)
中山お酒、飲んでないのに…。実は今日も間違えてて、
スパイダースミーティングもないと思ってた…。
伊達だいぶ間違えてるね…(笑)。
長塚2013年、中山さんはビッグイヤーだったよね。
中山そう。子どもが産まれました。『かもめ』のマチネとソワレの間に産まれたから立ち会えたんだよね。
長塚『あかいくらやみ』の最中にはそんな劇的なことは起こらなかったけど(笑)。
中山大変な芝居だったから、『あかいくらやみ』のときだったら、マチネとソワレの間に病院に行く余裕はなかったと思う。
長塚確かに。子どもが産まれてから中山っちとはちょくちょく会ってるよね。
中山タクシーでドライブスルーに行ったり。
長塚あのときは珍しく夜中まで遊んだね。夜中にマック食べたのなんて久しぶりだったよ。子どもができたのがおもしろくて、何回か顔を見に行ったんです。あと、名前を決めようってね。
中山『あかいくらやみ』の本番中にみんなに相談してたんだよね。それで(小栗)旬が演じてた「大一郎」という役に似てる名前とかどう?と勧められて。結局、全然違う名前にしちゃったけど(笑)。
長塚どれだけ相談に乗ったかわかんないよ!
中山(笑)。産まれてすぐに地方公演があって一緒にいられなかったから、奥さんは区の産後ケアセンターに入ってたのね。「圭史」みたいに小さい頃から下の名前で呼ばれるのに憧れてて、そういう名前を考えてたんだけど、名前を決めきれなくて出生届けを出さずに出かけたら、ケアセンターで「中山」っていう名札をつけられて「中山ちゃん」って呼ばれてたっていう(笑)。帰ってきて顔を見てから決めようと思ってたのに、助産師さんに「今すぐ区役所に行って!」ってダメな父親みたいな扱いされて…。じっくり考える暇もなかった…。
長塚そのニュースは『冒した者』の打ち上げのときに聞いた。あれだけ相談に乗ったのに名前が決まったことは他の人から聞いたからね(笑)。「中山ちゃんって呼ばれてたらしい」という話で結構盛り上がったよ。
中山ネタになっちゃってる…(笑)。
伊達(笑)。僕は2013年はのんびりしてたかなあ(笑)。『あかいくらやみ』ではやりがいのある役をやらせてもらって、観た人からもいろいろと感想をもらったり。楽しい体験でしたねえ。でも本当にケガなく終わってよかったよね。あの甲冑の衣裳を着て舞台上を歩き続けるのは大変だから。膝と腰に地味にくるみたいでみんな辛そうだった。
長塚久々にスパイダースに新作を書けたのは楽しかった。山田風太郎さんの原作というのもあって、今までにはなかった飛躍をしていけた気がする。格好のよろしい作品というか、スマートな作品ではないと思うけれど、積み重ねてきたものが結実していくおもしろさはありました。またコヒさん(小日向文世)、加代ちゃん(白石加代子)、オノタケさん(小野武彦)といった先輩たちの支えっぷりが半端じゃなかった。
伊達大鷹(明良)さんはよく走るし、オノタケさんは芝居の解釈とか、いろいろとつっこんだ質問を圭史に投げかけて前向きに参加してくれているし。コヒさんはつきつめて作品に向き合ってくれるし。加代ちゃんは一緒にお仕事したのは初めてだったんですけど、良い意味であっという間に親しくなれるかわいらしい方でしたね。僕らは先輩たちにとっては若手ですから(笑)、さらに若手のみんなにまじって走り回ってね。
長塚『あかいくらやみ』みたいな芝居ってチームワークができてないとやれないからね。先輩たちが腐ることなくやってくれたことは作品にとっては大きかった。新しい考えと先輩たちの理屈が融合するというのが、劇の本質そのものだから。
中山(福田)転球さんとか小松(和重)さんとか横ちん(横田栄司)とか、僕ら世代もたくさん出てるんだけど、意外だったのが、先輩のほうがわからないことを「わからない」とはっきり言うんだよね。僕らはわからないことが恥ずかしくて、わかったふりをしているところもあったりして。大体の現場は先輩がわかっていて、できるものとして引っ張っていく感じだけど、今回は先輩が「さらけ出していこうぜ」という姿勢を示してくれた。僕らは意外とインナーな世代だったんだなと(笑)。まあ、守らなければいけないものもあったり、微妙な世代になってきているのかもしれないけど。だから先輩が意見を言ってくれることによって、すごく風通しの良い稽古場になりました。逆に先輩にそんなところを頼って申し訳ないなとも思ったけど。
長塚コヒさんは串田(和美)さんの現場を経験しているから知っていたのかもしれないけど、最初に円座になって話しながら作っていくという進め方は似ているみたい。そのやり方だと、オープンにいろいろなことを語っていくことが必要になるんだよね。だから先輩方は、現場の空気にいち早く乗ったんだと思う。それは経験値の高さですよね。
中山経験があるにも関わらず、すごく新鮮な質問をしてくれるから、すごいなと思った。僕らはまだまだだなというか。経験値を重ねてわかったふりをするんじゃなくて、常に新鮮な気持ちで芝居に向き合うことが大切なんだよね。
伊達コヒさんからは、「わからない」と言う疑問もそうだけど、話を理解したときには「そこがつながってるんだ!」とか、様々な驚きが漏れ聞こえてきて、そのたびに「僕たちも同じ気持ちです」と思ってた。

本質的には変わらない


中山今回、昔からスパイダースに出てくれている仲間が観にきてくれたんだけど、「昔のスパイダースがやってたこととまったく変わらない」という意見が多かったんだよね。『荒野に立つ』とか『アンチクロックワイズ・ワンダーランド』のときには言われなかったけど、『あかいくらやみ』に関しては、「昔のスパイダースだ」と。僕の役も1人で間違った方向に突っ走って行く役だし、男たちが間違った方向にただ行っているというのも、昔のスパイダースと変わらないって。やってるほうは気づいてなかったから、その意見はおもしろかった。
長塚やっぱり本質的には変わらないよ。ただ、世の中の見え方が変わったりはしてるだろうけど。ちょこちょこ仕事はしてますが、僕はほぼ演劇しかしてないわけで、ここ(演劇)に生きている。何を作っても演出だけしていても、自分の本質はそんなに変わらない。特に人間のドラマについて考えたときに、やっぱり根っこのところで好きなものはあって。特に今回みたいに時代劇の要素が入ってくると男たちの話になるから、猛烈に自分の色が出ると思う。だから「変わらない」と言われると、「でしょ?」という感じ。でも今回は山田風太郎さんの原作と歴史事実があるから、都合の良いように物事を仕向けられない部分もあって、そこもまたおもしろかった。
――やっぱり1年の中でスパイダース公演があるとないとでは違いますか?
中山 『あかいくらやみ』がビッグイベント過ぎて、最初スパイダース感が沸かないと俺が言ったら、伊達が「俺はスパイダースとでしか圭史と仕事しないから、すごいスパイダース感がある」って張り切ってたよね。
伊達このメンツでいるとやっぱりそう思うよね。
長塚俺はね、よくスパイダースをやってくれている演出助手の山田美紀さんとやりとりしているとすごくスパイダース感を感じるんだよね。中山っちと伊達とも長年やってきている人だから、「だから祐一朗!」「伊達ちんそこ!」とか、小声に出ちゃってるの(笑)。それを聞いていると、「こういうこと何年も続けてるなあ」と思う。スパイダースとの歩みも長いからね。作品を作っている最中は大変だから、「スパイダースだな」とかは思わないよ。幕が開いてからじわじわと感じてきたりするものだよね。でもまあ演劇的に試したいと思っていることを、多少ややこしかったり、まだまとまってなくても、すぐに中山っちとか伊達とか、転球さんや横ちんとかがやって見せてくれたりして、稽古場としてはすごくやりやすい。「誰がやる?」なんていう時間を持たずに始まっていく。それはとてもありがたいよ。イメージの伝達も早くなるしね。
中山何も決まってないから、ぐだぐだになる可能性も高いけどね。
伊達でもみんな、「本番もこれをやるんだ」と思い込んで、そのつもりでやってるからね。
長塚「本番もやるんだ」っていう緊張感があると意識も変わってくるしね。例えば、セットの襖を俳優が動かすのとスタッフさんが動かすのとでは匂いが違うから。匂い立つように動かすのはどうすればいいんだろうと考えながらやってみて、それをみんな学んでいくんだよね。
伊達今回、馬を背負わせることは最初は決まってなかったもんね。馬が出ることすら決まってなかった。
長塚馬なんて考えてなかったんだけど、稽古が終わったあとの打ち合わせで、もっと何かないかな?と話していて、「やっぱり、田沼(玄蕃頭)は馬じゃない?」という意見があって。「馬もいいねえ」と。それからどうやって馬を出そうかと考えていたら、ひとりで背負う馬が一番馬らしかった。
伊達いろいろ試したけど、なんでだろうね、不思議だよね。ひとり馬のほうが馬っぽかった。
長塚そういうことが稽古の中で考えられる余白があるのは嬉しい。『あかいくらやみ』ぐらいのスケールで、日本の今の演劇の状況として2年、3年前から準備してなんてできないから。もちろん準備はしておくんだけど、半年ないし1年間の準備を放り投げられるほどに、一ヶ月半の稽古の中でのひらめきと、人が集まったエネルギーの燃焼を活用してゆく。そういうことが『あかいくらやみ』では出来てたかな。
――『あかいくらやみ』が終わって、その後はそれぞれの活動をしてきたわけですが。
中山僕はその後、リーディング公演をやったんだけど、『あかいくらやみ』を観た演出家が、「中山さんは悪役のほうが好きだ」と言っていて。だから『あかいくらやみ』で作った田中愿蔵のそのままの声色でリーディング公演をやったんです。立って人の表情を見ながらのリーディング公演で、ほとんど微動だにしないまま睨みっぱなしで読んだんだけど、田中愿蔵を演じていたおかげですっと入れましたね。
伊達2013年は『あかいくらやみ』も含め、たまたまコクーンに2回立つことができたんですよね。肉感としてコクーンの舞台の、あの空間に立った感覚が残っているから、今年の2本は良かったなと思います。この感覚は忘れないと思う。だからまた、早くコクーンに立ちたいなと。
長塚俺はね、『あかいくらやみ』の振付の関(かおり)ちゃんと知り合ったことでダンス公演に行くことが多くなって、ダンス通みたいな気分を味わえていますね(笑)。ダンス公演に行って、ダンス界の方々にまみれて初日乾杯をしている感じがちょっと新鮮です。2013年は、作品を通しての出会いが多い1年でしたね。

新しい1年に向かって

――2014年はどんな一年にしたいですか?
伊達『あかいくらやみ』は、一ヶ月半稽古して、一ヶ月公演をして、自分の役だけじゃなく、お芝居全体をみんなで育てることができたかなと思っていて。だから演劇という現場がものすごく幸せな場所だということは、今すごく感じています。やっぱり他の仕事と演劇では作品への関わり方が違うなと。当たり前のことだけど、2014年に演劇を作る現場に関わる際には、どれだけその期間、作品全体かつ自分の役を楽しんで向き合えるか、今から楽しみです。演劇って相当贅沢な時間だと思うなあ。一ヶ月半稽古場で顔をつきあわせて稽古できるんだもんね。
中山2014年は、やるかやらないかまだわからない仕事が多かったりして、もしやらなかったら演劇は少ししかやらないから、そしたら暇な時間を有効に過ごす一年になるか、演劇じゃないものをやるか。でもやっぱりバタバタと決まれば、演劇ばっかりやっている一年になるか。まだわからない(笑)。
長塚子どもも産まれたことだし、のんびりしたらいいのに。
中山それはそうなんだよ。全然切り替えられる。週2でサーフィン行って波にもまれて、あとの5日間は育パパやって。
伊達ひとりで行っちゃうの? サーフィン。
中山どっちでもいいんだけど(笑)。一年に一本バーンと芝居をやって。それで細々と生活する。
長塚そうだね。年に一本なら細々とやらんとね。
中山稽古場でも演出家に怒られるっていう荒波にもまれたりしてね(笑)。
長塚全然上手くいかないよ!って(笑)。
中山だからどんな一年になっても心の準備はできています。
長塚それはいいね。
中山毎年、こんな一年にしたいとかは思わないけど、たまたまおのでらん(小野寺修二)に誘われたり、いろいろと刺激的なことがちょいちょいあったりするからね。
長塚身体が空いてると、おもしろいことに参加できるっていうのはあるよね。僕は2014年の予定は、今のところ半年以上ないんです。今年大放出したんで、もういい(笑)。僕はとても演劇が好きな人ですけど、しばらくはいいです(笑)。だから半年くらいは観劇者としてあれしようかなと。
中山演劇をやりたいって思う期間にするの?
長塚そう思うのか、ちょっと書いたりしたくなるのか。観たい芝居はいろいろあるし。本当に2013年は忙しかったから、もう、休む!(笑)だから春めいてきてから2014年のことは考え始めます(笑)。まあ、その間に少しは仕事するだろうけどね。
中山プライベートで京都に行ってもいいかなって思ってるんだけど。
長塚そういうのは楽しいけどね。京都に一緒に遊びに行こうって話でしょう?(笑)
中山うん。
長塚それはそれで別に行ってもいいけど抱負の話と関係ない(笑)。あとはまた、春にみんなでうちでご飯食べようか。
中山やるか!
伊達やるか!って(笑)。
長塚2014年の予定はひとつ決まったね。みんなでご飯を食べる(笑)。


Page top



中山 祐一朗

伊達 暁

長塚 圭史

ASP会員募集!! チケット先行